地球観測衛星について

地球観測衛星とは

地球観測衛星は、リモートセンシング技術を使って地球を測ることを目的とした人工衛星です。目的に応じて色々なセンサ(測定器)を載せています。

代表的なセンサの紹介

地球観測衛星に載せられている代表的なセンサは大きく3種類あります。

  • ■太陽光の反射や放射を測る -光学センサ-

    太陽の光(人間の目では見えない紫外線や近中間熱赤外までを含む)が物にあたり反射した光を測ります。また、対象物が放出(放射)している熱を測ります。
    主な観測対象は、植物の有無、地表の温度、海面の温度、地表の高さ、雲の状態、水の有無です。

    ■センサから発射するマイクロ波を使って、対象物が反射するマイクロ波を測る -能動型マイクロ波センサ-

    自らマイクロ波を地球に向けて発射し、対象物から反射されて戻って来るマイクロ波を測ります。マイクロ波は雲の影響が少ないので、光学センサでは困難な「夜間」や「悪天候時」にも観測ができるという特徴があります。
    合成開口レーダ(SAR)や降雨レーダ(PR)などがあります。
    主な観測対象は、植物の有無、地表の高さ・変化、雲の状態、水の有無です。

    ■対象物が放射するマイクロ波を測る -受動型マイクロ波センサ-

    人間の目には見えませんが、物はその種類とその状態によって異なるマイクロ波を放射します。これを測るセンサで、能動型マイクロ波センサと同様、光学センサでは困難な「夜間」や「悪天候時」にも観測ができるという特徴があります。
    主な観測対象は、地表の温度、海面の温度、雲の状態です。気象予報などに使われています。

観測幅と分解能

  • 地球観測衛星は、その目的に応じたセンサを搭載し、適した高度の軌道を飛行します。それによって、観測する幅(以下、「観測幅」)や細かく見える度合い(以下、「分解能」)が異なっています。
    例えば、観測幅が185kmで、分解能が30mの場合には、一度に185kmの幅を見ることができ、 1ピクセルで30m×30m以上のものを認識できます。

    一般的に、高い軌道は広い観測幅で分解能は低くなります。逆に、低い軌道は観測幅は狭くなりますが、分解能が高くなります。
    広い観測幅と高い分解能の両立は難しく、高い分解能の方がよいのかというと、一概には言えません。観測幅が狭いと、必要なエリアが1シーンでは収まらないことがあります。その場合、観測日の異なるシーンをつなぎ合わせるため、観測条件が変わってしまうことがあります。

    それぞれの衛星(センサ)によって、大気や陸地、海域など観測対象も異なります。目的に合った衛星(センサ)を選択することが大切です。

より多くの衛星について知りたい方は、衛星総覧をご覧ください。

地球観測衛星の運用は

  • 地球観測衛星は各国の機関や民間企業が、地上の施設で運用を行っています。これらの施設には、衛星や衛星搭載センサの状態確認や、衛星の姿勢や軌道の修正を行う追跡管制局や、観測したデータを受信する受信局等があります。

    国内の場合、これまでは主に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が地球観測衛星の打ち上げと運用を行っていましたが、近年では民間企業が運用する小型衛星が増えてきました。
    国外では、アメリカ、インド、欧州等多くの国の宇宙機関や民間企業が衛星の運用を行っています。中には、国外の地球観測衛星に日本のセンサを搭載することもあります。

観測データが利用者に届くまで

  • 地上局等で受信、保存された地球観測衛星の観測データは、そのままでは利用できないものがほとんどです。
    一定の観測幅で帯状に観測されたデータは、そのままではデータ量が大きすぎるため一定の大きさに切り出します。これが、衛星データの1シーンです。
    次に、衛星に搭載したセンサによる対象物の見え方の特徴(感度)のばらつきを合わせ、さらに、衛星の姿勢変化による地上との位置のずれを除くなどの補正処理を行います。
    補正されたデータへ、衛星の観測日や補正した際の情報等を付加して、ようやく利用者に提供されます。

    観測データは、代理店などを通じて購入することができます。また、LandsatやSentinelなど、衛星運用機関によって無償で公開されているデータもあります。
    RESTECでは、20種類以上の国内外商用衛星のデータを取り扱っています。

地球観測衛星の観測データは、デジタルデータで保存されていて、利用者はパソコンで見ることができます。画像加工ソフトウェアでは画像を表示し、文字の追加や色付け等の加工もできます。画像解析専用ソフトウェア等を使えば、時期の異なる同一地域の変化抽出といった解析を行なうなど、利用者の目的に応じた利活用ができます。
なお、RESTECは初心者向けに「Google Earth Engine Apps を用いた地球可視化ツール(VEGA)」の無償提供や、YouTubeのRESTECチャンネルでのe-Learning講座の無料公開など、リモートセンシング学習に関する様々なコンテンツを提供しています。また、より知識を得たい方向けに基礎から実利用まで、幅広くリモートセンシング技術研修を開講しています。

衛星データの利用とは?

地球観測衛星は、世界中の状況を、その場所に行かなくても確認することができます。更に、同一の地域をほぼ同じ時間に観測しているため、過去の観測データと比較することが容易で、様々な状況変化を見ることも可能です。
このような衛星の観測データの特性は、極域などの人が立ち入りにくい場所や長期間の変化の抽出にとても有効です。そのため、従来は環境問題や気象分野の研究に多く利用されていました。しかし現在、その利用範囲は大きく拡大し、地図・都市計画、農業、防災・災害など様々な分野で活用されています。

国や自治体では、地理情報システム(GIS)で様々な情報と併せて行政業務において利用されています。例えば、農業分野では農林水産省が実施する水稲作柄予測調査に、令和2年から衛星データを利用した新しい手法を取り入れました。
国外ではパイプラインやダムなどインフラモニタリングにも衛星データが重要な役割を果たしています。
その他具体的な例は「利用事例」よりご覧ください。

リモートセンシング利用事例

災害、社会インフラ、地理空間情報、農林水産、環境、SDGsなど多岐にわたる分野において利用されているリモートセンシング技術をご紹介します。

事業紹介

RESTECは、衛星リモートセンシングに関する研究開発から運用、利用に至るトータルソリューションを提供する総合力によって、環境問題、災害、国土管理、農林水産など様々な社会課題の解決に貢献しています。
詳しい事業内容についてご紹介します。