日本の国土の3分の2は森林が占めています。その面積は2,500万ヘクタール(25万平方キロメートル)にも及びます。森林には私たちが安心して暮らしていくための様々な機能や役割があります。きれいな空気や水を作り出し、土砂崩れや鉄砲水といった災害を防止し、木材資源を供給し、時には憩いの場として人々に安らぎを与えてくれる貴重な自然環境です。
この森林を守り、その機能や役割を有効活用することは日本だけに限らず世界共通の課題です。特に近年では地球温暖化の対策として森林の働きが注目を集めています。
RESTECはこの課題解決に向けて、リモート・センシングに係る豊富な知見と、人工衛星に限らず航空機やドローンといった様々なプラットフォームを活用しながら、挑戦を続けています。

森林資源量を捉える

人工衛星から地表を観測すると一度に広域な範囲(100㎞2以上)を捉えることができます。このため森林のように広い面積であっても、効率的に観測することが可能です。
RESTECでは、人工衛星が撮影した画像を活用して、森林の様子や資源量(材積量)を的確に捉える手法の確立に取り組んでいます。
観測用センサーの技術と性能の向上により、今では人工衛星が撮影した画像から1本1本の木の場所や種類を特定することができます(図1)。また複数の画像を組み合わせることで地面や木々の高さを推計することも可能です。木の先端と地面の高さの差分から木そのものの高さを推計し(図2) 、これと木々の分布状況から面積を特定することができれば、その範囲の森林の体積(資源量)を算出することも可能です。更には樹種の情報や道路の整備状況等を考慮してその資源の経済的な価値を評価する方法を研究しています。

森林破壊をモニタリング

  • ブラジル・ロンドニア地方のアマゾン熱帯林の伐採の様子 1995年のデータ(2)と2009年のデータ(3)をカラー合成したのが画像(1)。約110km四方中、黄色が森林、濃い焦げ茶が1995年以前の伐採地。赤が1995年~2009年までの15年間の伐採地。画像を解析することで、森林伐採が大幅に増加している様子が一目瞭然になりました。
  • 森林破壊をモニタリング