Sentinelシリーズに迫る①~その概要とSentinel-1, 2, 3について~

2026年03月30日

衛星画像に触れたことがある方なら"Copernicus計画"や"Sentinelシリーズ"というワードを耳にすることも多いのではないでしょうか。実際これがどのような計画なのか、またどんな衛星がシリーズとして名を連ねているのかなど、ご紹介していきます。

Copernicus計画 / Sentinelシリーズとは

Copernicus計画とは、EC(欧州委員会)によって運営される、地球環境と安全保障問題に対する自律的な監視プログラムのことです。EC諸国に加え、ESA(欧州宇宙機関)、EUMETSAT(欧州気象衛星開発機構)、ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)、EU(欧州連合)機関およびMercator Ocean International*1が連携して実行しています。このプログラムは地球観測で得られたデータと現地観測で得られたデータで構成され、これらのデータや解析プロダクトはオープン&フリーで提供されています。欧州にとどまらず世界中で使われており、貢献する分野も海洋、森林、農業、気候変動、防災など多岐にわたります。またCopernicus計画では、6つのコアサービスを掲げています:

①危機管理(Emergency Management)
②陸域観測(Land Monitoring)
③海域観測(Marine Monitoring)
④大気観測(Atmosphere Monitoring)
⑤安全保障(Security)
⑥気候変動(Climate Change)

*1 デジタル海洋情報の解析・予測・提供を行う国際的な中核機関

このCopernicus計画の運用に必要な地球観測データを取得するのが、Sentinelシリーズです。Sentinelシリーズの衛星はESAによって開発され、観測ミッションの異なる6種類の衛星があります。

シリーズ
観測ミッション
Seninel-1
全天候型・昼夜対応のレーダー画像取得
Seninel-2
高解像度光学画像の提供
Seninel-3
海洋温度や地形等の観測
Seninel-4
大気汚染の監視
Seninel-5
大気のガスとエアロゾルの監視
Seninel-6
海面観測、気温と湿度の情報収集

さらに近年では、新たに6種類のミッション"Copernicus Expansion"が計画されており、現在研究開発が進んでいます。これらの衛星については、本コラム第3回以降でご紹介します。

シリーズ
観測ミッション
CHIME

(Copernicus Hyper-spectral Imaging Mission for the Environment)
農業・生態系管理と土壌の把握
CIMR

(Copernicus Imagine Microwave Radiometer)
海面水温、塩分濃度
CO2M

(Copernicus Anthropogenic CarbonDioxide Monitoring)
二酸化炭素の観測
CRISTAL

(Copernicus Polar Ice and Snow Topography Altimeter)
海氷の厚さ、積雪深
LSTM

(Land Surface Temperature Monitoring)
地表面温度観測
ROSE-L

(L-Band Radar Observing System)
土壌水分、極域の氷分布

Sentinel シリーズの衛星たち

本コラムでは、Sentinelシリーズ衛星たちの特徴をご紹介します。今回は、Sentinel-1, 2, 3についてです。これらの衛星の共通点としては、2機の同一衛星でコンステレーションを形成していること、合計4機(A, B, C, D)を順に打ち上げていく計画が立てられていることが挙げられます。しかし、観測目的や搭載機器はそれぞれ異なります。詳しく見ていきましょう。

▶Sentinel-1A / 1B / 1C / 1D

基本情報

・SAR衛星
・運用機関はESAとEC
・打ち上げ日および運用状態は以下の通り

 
  Sentinel-1A Sentinel-1B Sentinel-1C Sentinel-1D
打ち上げ日 2014年4月3日 2016年4月25日 2024年12月5日 2025年11月4日
運用状態 運用中 運用停止 運用中 運用中
※2026年3月現在

観測目的

全天候・昼夜問わず、陸域および海洋のモニタリングを行っており、レーダー画像をはじめとする独自の観測データセットを提供しています。例えば、陸地においては森林、農地、都市のモニタリング、海上においては海氷・海波・海風モニタリングや船舶監視、油流出検知などを行っています。さらに洪水や地震、地すべり等が発生した際にも活躍が期待されます。

主な搭載機器

Cバンド SAR(合成開口レーダー)を搭載

🄫ESA

▶Sentinel-2A / 2B / 2C / 2D

基本情報

・光学衛星
・運用機関はESAとEC
・打ち上げ日および運用状態は以下の通り

 
  Sentinel-2A Sentinel-2B Sentinel-2C Sentinel-2D
打ち上げ日 2015年6月23日 2017年3月7日 2024年9月5日 2028年(予定)
運用状態 運用中 運用中  運用中 計画 
※2026年3月現在

観測目的

高解像度の光学衛星画像提供をミッションとしています。また、自然生態系の監視・食糧安全保障に貢献する情報提供の役割も担っており、葉面積指数、クロロフィル含有量、水分含有量など生物物理学的変数の測定も可能です。Sentinel-1と同様、緊急時には洪水や地滑りのモニタリングを行います。

主な搭載機器

Multi-Spectral Instrument / 高解像度マルチスペクトルイメージャーを搭載。VNIR(可視光・近赤外)からSWIR(短波長赤外)までをカバーする13のスペクトルバンドを備えています。

🄫ESA

▶Sentinel-3A / 3B / 3C / 3D

基本情報

・複数の観測機器を搭載し、光学・SAR両方の観測能力を有するマルチセンサミッション
・運用機関はESAとEUMETSAT
・打ち上げ日および運用状態は以下の通り

 
  Sentinel-3A Sentinel-3B Sentinel-3C Sentinel-3D
打ち上げ日 2016年2月16日 2018年4月25日 2026年(予定) 2028年(予定)
運用状態 運用中 運用中 計画 計画
※2026年3月現在

観測目的

海洋、陸地、氷、大気の体系的な測定を行うことをミッションとしています。具体的には、海面地形や海面・陸面温度、海洋・陸面の色、河川・湖沼の水面高度、陸氷・海氷の厚さ等を測定し、海洋予測システム、環境モニタリング、気候モニタリングへ貢献しています。

主な搭載機器

SLSTR (Sea and Land Surface Temperature Radiometer)

海面・陸面の温度を測定する放射計です。9つのバンド(可視・SWIR・TIR)に加えて、2つの追加バンド(巻雲検出用および植生・鉱物・濁水域の補正用)で測定を行っています。

OLCI (Ocean and Land Color Instrument)

0.4~1.0μmにまたがった21バンドで、海洋や陸域の色を観測する装置です。

SRAL (SAR Radar Altimeter)

SARモードのデュアル周波数(Kuバンド/Cバンド)で観測を行い、海面などの高度を測ります。Sentinel-1とは異なり、画像としてのSAR観測は行いません。

🄫ESA

まとめ

Sentinel-1, 2, 3の特徴をまとめると、以下の表のようになります。

 
  Sentinel-1 Sentinel-2 Sentinel-3
衛星の種類  SAR衛星 光学衛星  マルチセンサミッション 
運用機関  ESA・EC ESA・EC  ESA・EUMETSAT 
観測目的 全天候における陸域・海洋のモニタリング 高解像度の光学衛星画像提供 海洋、陸地、氷、大気の体系的な測定
搭載機器 Cバンド合成開口レーダー 高解像度マルチスペクトルイメージャー SLSTR
OLCI
SRAL ほか


次回以降はSentinel-4, 5, 6やSentinel Expansionとして研究が計画されている衛星についてご紹介します。

紹介した衛星のスペック詳細

参考文献