ALOS(陸域観測技術衛星)とは

  • ALOS(エイロス)とは、2006年1月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた地球観測衛星「陸域観測技術衛星(Advanced Land Observing Satellite)」で、日本語名は「だいち」です。
    その大きさは、地球観測衛星の中では世界最大級で、幅3.5mx奥行き4.5mx高さ6.5m、付属する電池パドルは22mx幅3m、質量は約4トンにもなります。

主要諸元

運用期間 2006年1月24日(打上げ)~2011年5月12日(運用終了)
配布データ期間 2006年5月16日~2011年4月22日(データ提供開始 2006年10月24日)
打上げ機 H-IIAロケット
運打上げ場所 種子島宇宙センター
衛星質量 約4トン
発生電力 約7kW(寿命末期)
設計寿命 3~5年
軌道 太陽同期 準回帰軌道
回帰日数:46日
サブサイクル:2日
高度:691.65 km(赤道上空)
傾斜角:98.16°
姿勢決定精度 2.0x 10-4°以内(オフライン、GCPあり)
位置決定精度 1m以内(オフライン)
データ転送速度 240Mbps(データ中継衛星経由)
120Mbps (直接送信モード)
搭載データレコーダ 固体データレコーダ(90Gbytes)

搭載センサ

ALOSは、高精度で標高抽出を行うためのパンクロマチック立体視センサ(PRISM)、土地被覆の観測を高精度に行うための高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)、および昼夜や天候によらず陸域観測が可能なフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)の3つの地球観測センサを搭載しています。

パンクロマチック立体視センサ(PRISM)

分解能 2.5m
観測幅 3方向視モード 35km
直下視のみ 70km
特徴 可視域の波長を用いて、前方・直下・後方の3方向視の画像を同時に取得します。
利用分野 地図作成、(地図作成のための)DSM作成、都市計画、農業、森林監視、沿岸監視、不法投棄監視、洪水監視 etc.

高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)

分解能 10m
観測幅 70km
特徴 可視・近赤外域の波長を用いて、陸域や沿岸域を中心に観測を行ないます。
利用分野 広域地図作成、広域都市計画、農業(作物調査)、森林監視、沿岸監視、港湾汚染監視、植生監視、広域洪水監視 etc.

フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)

分解能 高分解モード 10m
広域モード 100m
観測幅 高分解モード 70km
広域モード 250〜350km
特徴 Lバンドを用いた合成開口レーダ。高分解能モードに加えて、広域モードでの観測も可能です。
利用分野 DEM作成、インタフェロメトリによる地形変形の抽出、バイオマス推定、森林監視、農業、油流出監視、土壌水分、船舶探査 etc.

ミッション

ALOSは地図作成、地域観測、災害状況把握および資源探査を主要ミッションとしています。また、研究分野での利用例としては、たとえば、地球観測利用研究センター(JAXA/EORC)では「土地利用・土地被覆」、「防災・災害」、「地質、鉱物資源」、「生物資源」、「海洋」、「農業」等の12分野を主要研究分野として設定し、衛星デー タの利用に繋がる研究を推進することとしています。

地図作成

国内およびアジア太平洋地域などの諸外国の地図作成・更新を行います。
ALOS PRISMを用いれば、道路や建物などの人工構造物及び河川や水域等の対象物や地形標高データを取得できます。また、地形標高データに光学センサや合成開口レーダを重ね合わせることで、植生や土壌に関する情報も一体として提供できるので、情報量の豊かな地図を作成することが可能です。

地域観測

世界各地域の「持続可能な開発」(地球環境と開発との調和)に必要な地域観測を実施します。
衛星画像から抽出されるさまざまな環境・資源情報を提供することにより、地域レベルでの環境・資源の保全・管理や持続的な開発・利用を支援します。

災害状況把握

国内外の大規模災害の状況把握を行います。
火山噴火や洪水、地震などの大規模災害に対して、すでに利用可能となっているさまざまな衛星や災害モニタリングシステムと一体になって災害状況に関するデータの収集や提供を行います。

資源探査

国内外の資源探査を行います。土地・水資源などのモニタリングに加えて、鉱物資源などの探査に役立つ情報を提供します。

その他

将来の地球観測に必要な技術開発等を行います。