RESTECの現在と今後の展望 -RESTEC Forum2024

2025年02月26日


RESTECフォーラム2024 RESTECの現在と今後の展望
講演:経営企画部長 見冨 恭

はじめに

本日は、本フォーラムのテーマ「スペース・トランスフォーメーション時代に向けて」に対して我々RESTECが行っている取り組みにつきまして、概略をお話させていただきたいと思います。

スペース・トランスフォーメーション略してSXとは、宇宙空間を舞台とした活動を通じてもたらされる経済社会の変革という意味です。
米国のLandsat1号機が打ち上げられて50年以上が経過しています。我々はその歴史とともに、宇宙空間から地球を観測する衛星リモートセンシングによって、SXの実現に取り組んできたと言えるのではないかと思っております。

過去においては、センサーがそれほど多くなく非常に限られた観測機会の中で、社会への実装が限定的にしか進まないという状況が続いておりました。しかしながら近年におきましては、衛星能力の小型化、センサーの多様化、衛星コンステレーションの実現、クラウドなど巨大プラットフォームの実現、そしてAI技術によるデータ分析能力の向上など様々な技術革新が起こり、まさにSXの実現というものが強く加速され環境が整ってきたと理解しております。

こうした時代を背景に、RESTECもリモートセンシング技術開発、利用拡大と社会実装を通じて社会経済の発展等に貢献するという経営理念を改めて確認し、事業に取り組んでおります。

SXの実現を支えるRESTECの事業

RESTECが柱とする六つの事業をご説明します。衛星地球観測事業、研究開発事業、シンクタンク事業、ソリューション事業の四つに、公益性の高い事業として人材養成事業と普及促進事業の二つを加え、SX実現を支える活動を行っております

  • ここからは各事業の取り組みを簡単に紹介いたします。

    衛星地球観測事業
    リモートセンシング技術を宇宙に持っていく最大の利点は、比較的広域・面的にものを捉えられることです。
    この利点を最大限に活用するためには、右図の衛星データが利用者に届くまでのバリューチェーンのうち赤い点線で示す「撮像計画・タスキング」「受信・標準処理」において計画的継続的にデータを取得するとともに、校正検証作業を通じて客観性を担保できるデータ品質を維持した上で、次の工程にデータを渡すということが非常に重要な部分であると考えております。

この分野は、長年RESTECがJAXA衛星等の運用支援といった形で取り組み、経験値も有しています。そういった面から、大型衛星に関する支援を引き続き実施していくことに加え、この知見を拡張し、今後SX実現に加わってくる小型衛星への対応にも取り組んでいるところです。
また、少し上流工程であるミッション設定の部分についても組織として取り組むべく、ユーザーニーズに基づく衛星開発構想の検討も行っております。

研究開発事業
こちらは、SXを実現するためのアルゴリズムやツール等解析手法の研究開発となります。
特に「多様なリモートセンシングデータの複合利用による高度化」を一つのテーマとして、マルチソース変化の解析技術や、多種のデータを一元的に扱えるようにするボクセル技術などに取り組んでおります。
旧来の「点」の地上データを中心とした災害状況把握等に対して、「広域」「面的」かつ「即時性」をサポートし、宇宙の利点を活かすように進めております。

シンクタンク事業
こちらは、先ほど紹介いたしました衛星地球観測事業と研究開発事業、そしてこの後紹介いたしますソリューション事業や人材養成事業など各事業の経験と知見を活用いたしまして、内外情報の調査分析を基に事業立案等へのコンサルティングといった形でSXの実現を支えるものです。

ソリューション事業
こちらは社会や顧客の課題解決に向けたデータ提供、技術実証、サービス提供を目指す事業です。積極的な他機関との連携を含めてリモートセンシング技術の社会実装への仕組み作りによるSXの下支えに取り組んでおります。

人材養成事業
こちらは、顧客の課題に応じてリモートセンシング技術に関する研修を提供し、衛星による宇宙利用に関する人材育成という観点からSX実現を支えるべく取り組んでおります。

普及促進事業
こちらは、リモートセンシング分野におけるコミュニティ支援として研究助成活動、国際協力としてアフリカ野生生物保護活動への支援等、比較的公益性の高い取り組みによって国内外におけるリモートセンシングに関する理解の増進と利用普及を目指しています。
なお、この普及促進事業や人材養成事業を取りまとめる部署として、本年度海外協力室を新設し、事業に取り組んでおります。

RESTECの今後の展望

我々RESTECは、技術力を高めそれらを価値ある情報にして社会を繋ぎ、その成果を広く国内外の社会と分かち合うというRESTECのビジョンを念頭に置きまして、本日紹介した6事業へ取り組んでいます。 これら事業を通じて、国の政策推進への更なる貢献に加え、民間企業とも連携しリモセン技術の社会実装をすすめ、皆様のお力をお借りしながらSXの実現に取り組んでいきたいと考えております。

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