SAR衛星データの民間利用の可能性について

2023年08月31日
  • RESTEC月例講演会
    講演:金本 成生 氏
    (株式会社スペースシフト 代表取締役CEO)

    RESTECでは社内勉強会として毎月1回様々な分野の方にご講演をいただいています。
    宇宙×AIで世界を紐解くをテーマに事業を展開されている宇宙ベンチャー㈱スペースシフト代表取締役CEOの金本様に、5月にご講演頂いた内容をご紹介します。

はじめに

本日は、我々が取り組んでいるSARデータの民間利用の現状についてお話いたします。
まず㈱スペースシフトについてご紹介します。2009年12月に設立し、2023年で14年となります。2年前に5億円の資金調達を行い、メンバーを増やしました。現在、正社員26名のほかインターンが50名ほどおり、主にAIのための教師データの作成等を非常に効率的に行っております。拠点は、国内では大手町の本社及び鳥取県米子市です。国外では、アメリカで法人登記を済ませ、ヨーロッパオフィスとしてルクセンブルクを検討して準備を進めております。

宇宙×AIで世界をひもとく

  • 宇宙基本計画にもあるように、衛星データの利活用は様々な問題解決のために非常に重要なテーマとなっており、安全保障、災害、気候変動、インフラの監視など様々な用途に活用が見込まれております。

    その中で、我々は地球観測衛星のデータとAIを組み合わせて様々な変化を読み解く技術の開発を進めております。プラットフォームなどのエンドユーザー向けのサービス提供よりアルゴリズム開発に注力して、そのアルゴリズムを様々なプラットフォームやサービスに提供しております。ハードウェアの開発は一切行わず、ソフトウェアだけに注力をしております。

宇宙基本計画にもあるように、衛星データの利活用は様々な問題解決のために非常に重要なテーマとなっており、安全保障、災害、気候変動、インフラの監視など様々な用途に活用が見込まれております。
その中で、我々は地球観測衛星のデータとAIを組み合わせて様々な変化を読み解く技術の開発を進めております。行たちとしてはプラットフォームなどのエンドユーザー向けのサービス提供よりアルゴリズム開発に注力して、そのアルゴリズムを様々なプラットフォームやサービスに提供しております。ハードウェアの開発は一切行わず、ソフトウェアだけに注力をしております。

特に、我々はSAR衛星の活用をより重視しております。光学衛星は色や形がわかりやすい画像ですが、光で見ているため雲や夜間は見えないため観測機会の25%程度しかデータは取れません。
一方、SAR衛星はマイクロ波を照射しているので、雲を透過して地表面が見えます。天候や時間に関係なく画像の撮影が可能ですが、モノクロで、ちょっとノイズが多いような、高い建物も倒れ込んでみえたりと、人間では非常に読み取りにくい画像になっています。しかし、様々な情報を含んでおり、例えば建物の側面から高さ方向の情報を得る、ミリ単位の高さの変化が捉えられるとか、細かな材質の違いや正確な位置が求められる等々のいろんなメリットがあります。ただしその判読には非常に特殊な技能を必要とするため、人間よりもより細かい情報を読み取り自動的に処理をする、そういったAIの開発を進めております。

今利用可能な衛星としては、我が国のALOS-2を初めとした大型SAR衛星が世界中で運用されています。Sentinel-1に関しては現在1機体制になっておりますが、また今年来年新規衛星が出てきて、様々な衛星が利用できるような状態です。それに加えてベンチャー各社が超小型衛星コンステレーションを打ち上げています。特にアメリカのCapella SpaceやICEYEなどはコンステレーションの完成を先行して進めており、日本でもSynspectiveとiQPSの2社が予定しております。単体のコンステレーションで30機40機という機数では1時間位か2時間おきぐらいにどこかが見える程度の能力になり、なかなかリアルタイム観測というのは難しい状況です。しかし、利用可能な衛星全てで自動的に変化を抽出し、目的の対象物を見つけるようなことができれば、全体としては200機、250機ぐらいの数になると考えておりまして、全ての衛星を組み合わせて一つのバーチャルコンステレーションとして取り扱えるような、AIの技術を開発しております。
ですので、例えばCapella SpaceとICEYEの画像は非常に見た目も異なるデータですが、この全く異なるデータ間で変化検知ができれば、非常にリアルタイム性の高い処理が可能になります。ユーザーの視点からすると特にどのコンステレーションで、処理をしたいというニーズはありません。とにかく使える衛星を全て使って、より高い時間分解能を得ることでユーザーニーズにどんどんマッチングしていき、最終的にはマーケットが広がっていくというふうに考えており、バーチャルコンステレーションという技術は、より広範なSAR衛星データの利用に対しては不可欠な技術だと考えております。

ビジネスモデルの中心はアルゴリズム開発

我々の立ち位置をご紹介します。
衛星データの供給側である衛星プロバイダに対してアルゴリズムのライセンスを行います。また、プロバイダ自身もユーザーを抱えておりますので、そのニーズに応えるために、我々のアルゴリズムを活用いただくという形で提案を進めております。
逆に、需要側であるユーザーに対してもアルゴリズムのライセンスをすすめております。今は、建設会社、電力会社などのエンドユーザーにPoCとして我々のアルゴリズムで解析した結果を直接ご提供したり、彼らのシステムに我々のアルゴリズムを組み込むといったことを行っております。
日本で言えば、Tellus等の衛星データを取り扱うプラットフォームの拡大が今後見込まれていますが、複数のプラットフォームに関しては既に我々のアルゴリズムを提供しております。また、クラウドサービス、特にAWSではいろんなオープンフリーのデータのホスティングのようなコマーシャルのSARデータの取り扱いも始まっていますが、そういうサービス等にアルゴリズムを提供して我々のアルゴリズムとデータを組み合わせ、エンドユーザーに使っていただく取り組みも進めております。

技術パートナーとしては、干渉SARの技術開発を行っているイタリアのTRE Altamiraがあります。こちらは地表面のミリ単位の変位を解析する技術を保有しております。そちらと我々のアルゴリズムを組み合わせたサービスを日本国内で提供しております。
また、RAMON.SPACEというイスラエルおよび米国の会社は、衛星に搭載するCPUやGPU、ストレージの開発を行っています。日本でははやぶさ2にも採用されており、その他アメリカの深宇宙探査機や、光学衛星コンステレーションのPlanetにも彼らの技術が使われております。我々は、彼らが衛星プロバイダへ売り込むCPUに最適化したSAR解析アルゴリズムを、今後進んでいくオンボードProcessingのためのワンストップソリューションという形で共同のプロモーションを進めております。

こういう形で供給者であるプロバイダに対しても様々なアプローチをしておりますし、逆に需要側ではエンドユーザーのニーズをお聞きしながら、それに対応する形での自動処理のアルゴリズムを開発しております。こういった立ち位置を取ることで、衛星プロバイダからすると我々のアルゴリズムによって広範な民間市場が開拓できることになり、供給サイドと需要サイドをマッチングするような状況も生まれております。既に米国のSARプロバイダからも我々のアルゴリズムの採用提供というものが求められている状況になっております。
エンドユーザーに対しては様々な業界様々な検知内容に関して開発を進め、既に多くの分野でPoCを含めた顧客開拓ができております。例えばインフラであれば、ミリ単位の検知や、新規の建築物の検知。災害分野なら浸水域の判定を損保会社さんにご提供するとか。農作物のモニタリングに関してはマーケティングの利用ということで非常に面白い事例が出てきております。また海洋に関してはオイルスリックの検出、船舶検知なども開発しております。最近では、森林モニタリング、カーボンオフセットなどのカーボンクレジットに注目が集まっておりますので、その点でも非常に引き合いが増えております。

  • 市場規模としては2028年には一兆円規模になると見込まれております。その内訳は今は防衛安全保障が中心になっておりますが、今後はインフラの管理や保険を初めとした金融、災害対応などにマーケットが広がっていくと見られております。
    我々はSAR解析という一番難易度が高い部分の技術開発に注力しながら必要に応じて光学衛星、ドローン、地上のデータと様々なデータを組み合わせて様々な課題に対応しております。

SAR解析の様々な活用について

ここからSARの活用についてご説明します。

TRE Altamiraのミリ単位で地表面の変化を検出するソリューションは、日本全土の解析を終えています。関西空港を例にすると、非常に多くの計測点が取れ、過去にさかのぼった継続的な状況の確認が可能です。2年半でおよそ1mもの沈降がわかりました。全体的に見ますと斜めに進行してるような様子が見られます。この例のように細かく施設のモニタリング可能であり、設備管理やゼネコンでの活用が進んでおります。
建物単体の傾きとか、橋等のインフラの監視ですね。こういった地上計測との整合性についても、かなりの事例確認ができております。これまでPoCが多かった日本国内のお客様にも、自社の測量結果とこの干渉SARでの解析結果が非常に高いということで、継続してご利用いただく状況になってきております。
この技術に関しては、昨年日経新聞の記事にも採用されたことをきっかけに活用が進んでおります。また日経新聞とは様々な形で協力しており、ウクライナ状況に関する記事での解析を弊社の方で行っております。

港湾の管理に関するソリューションも行っています。コンテナヤードの増減や周囲の船の様子を自動的に解析できるようなアルゴリズムを開発し、昨年のNEDOのデータチャレンジに応募し受賞もしております。
水害に関する取り組み事例をご紹介します。SARを使った浸水域の抽出は様々な企業でも行われておりますが、SARの特性として浸水した領域は黒くなる傾向がありますので、そこを浸水域として捉えるアルゴリズムの開発を行っております。しかし、衛星データだけでは市街地の建物があるところなど非常に細かい部分がどうしても水面が見えなくて捉えにくいのですが、そこを地上のデータと組み合わせることで、より精緻に検証していこうという共同研究開発を、トヨタ自動車と行っております。
トヨタ自動車からは車の通行実績の情報をいただいておりまして、浸水域の手前でUターンをした、道路の通行量が減ったなどのデータを取りまとめると、浸水域がどこまで広がっているかという情報が得られます。この情報はリアルタイムに得られ非常に細かく最大浸水深時期の浸水範囲を知ることができます。このように車の走行実績データで補完すると、SARデータからは検出しづらい市街地の部分も浸水域としてちゃんと検出できて、最大浸水深の時の浸水域情報が得られます。その情報を損保会社の支払い業務に活用いただくという形で今PoCを進めております。
この取り組みは昨年のTellusの実装ツールに関する実証事業にも採択されております。

次いで、UP42などの衛星データプラットフォームに提供している、新しい建物を自動的に検知するアルゴリズムをご紹介します。北米テキサス州のオースティンという町の事例です。

  • テキサス州は法人税などの税制優遇によって、この5, 6年で多くの人口流入があり郊外に住宅地が広がりました。Googleマップでも、2015年と2021年の比較で宅地造成された状況が確認できます。Sentinel-1の非常に粗い解像度のSAR画像による比較でも新たな建物を検出でき、住宅地以外にも、工場の駐車場、資材置き場や動いた送電線が映り込むというように非常に様々な個所で変化がでました。しかし、我々のAIでは住宅地の変化だけを抽出することが可能になっており、その教師データの作成にインターンの活用を行っております。インターンは登録ベースで50名程度おりまして、大体月に30人の方に稼働いただいております。教師データを内製化でき、非常に低コストでクオリティの高いデータが作れている部分も弊社の強みとなっています。

このシステムでは、建物の変化を北米全体からズームアップして細かく見ることができ、エリアの家の件数やビルの個数を表示するアルゴリズムの開発も完了しております。デジタルツインについても取り組みをしております。デジタルツインはその更新が課題になっておりますが、衛星データを使ったデジタルツインの細かな更新として、シンメトリー社のプラットフォーム化されてるデジタルツインに我々の衛星データの解析結果を表示するという取り組みがあります。

農業の事例です。5年ほど電通と取り組んでいるもので、昨年からはJAXAのJ-SPARC事業の一つになっております。これは、キャベツの値段が下がると回鍋肉の素が売れるので、キャベツの生育状況を把握して価格が落ちるタイミングを予測し、そのタイミングに合わせてCMを放映し、より回鍋肉の素が売れるという予測技術の開発に取り組んでおります。
電通のテレビ広告枠最適化システムで、放映するCMをかなりリアルタイムにコントロールできるようになっています。そこに我々のアルゴリズムを組み込むことで、衛星データからキャベツの値動きを予測して、例えば安くなる時期に合わせて広告枠をたくさん取るとか、CMの回数を増やすなどの取り組みを今後行っていきます。
アメリカの超小型衛星Planetの嬬恋村のキャベツ圃場のデータです。毎日撮像していますが、雲などの影響でどうしても撮れない時期が出てきます。例えば7月31日はエリアの半分ぐらいは雲で隠れていますが、ちょうどこの時期のキャベツはだんだん緑色になって収穫時期を迎えているというのがわかります。8月10日には刈り取りが始まっています。しかし、その次に得られた画像は9月5日で、既にたくさんの圃場で刈り取りが完了しています。本来、この変化を追いかけることで収穫量を速報しますが、光学衛星だけですとこのように非常に大きなギャップができてしまということで、SAR衛星を組み合わせる技術を開発しました。光学衛星でNDVIという手法を使って緑の濃さを追いかけていきますが、雲等で見えない時期に関してはSAR衛星データで補完するという技術を開発しました。これによって継続的な生育状況把握が可能になり、より正確な価格予測に繋がると考えております。今年、実際にこういった手法を使った予測データを、CM出稿の最適化に使うというプロジェクトを進めています。
このアルゴリズムで解析した結果は、代理店では広告出稿のコントロールに使われておりますが、例えば生産農家であれば他の主要産地の状況把握にも使っています。巨大産地の出荷が始まるとやはり価格が下がっていきますので、その他地域の農家さんは時期をずらして出荷した方が良いということになります。また、流通企業やカット野菜などの生産流通を行っている企業としては、やはり機会損失を避けることが必要になりますので、作付状況や生育状況を見ることでその仕入れ先を変えたり、より安く仕入れられそうなところを探すといったことも考えられます。このように、同じアルゴリズムで様々なユーザーさんの課題に対応できるという形になっております。


また、これを例えば自動車のような製造業で考えると、鉄鋼採掘量や製鉄所の稼働状況、自動車工場の駐車場を見ることで大体生産台数がわかります。それをさらに、どこでどう出荷して、最終的にはどこでどういう車種が走っているのかといったところまで把握可能にしたいと考えております。このように全体把握することで様々な活用が可能になると考えております。最終的にはこういったデータを活用した生産や流通の最適化ということを通じて、地球環境保護にも繋がる技術になると考えております。

最近重要視されているESG関連に関する対応です。メタンやCO2を直接観測できるカナダの超小型衛星コンステレーションGHGSATのデータと、我々の解析技術を重ねることで実際の排出元がどういう活動を行っているのか、その活動の量などを確認することにより、正確な企業活動の把握やESG投資の判断基準にするような取り組みも行っております。

海外の事例になりますけれども、マイクロファイナンスの与信へ活用しようという事例で、ナイジェリアの稲圃場の生育状況の把握を行いました。Sentinel-1データを利用して農作の時期を検出し、実際の記録と照らし合わせても遜色のない結果が得られております。こういったデータを活用することで、農家の耕作の実施状況、過去に耕作を行っている農家にはより低い利子で貸し出すような与信にも活用できるということで、現地でマイクロファイナンスの事業を進めている会社と共同で進めております。

他にも、海洋分野ではオイルスリックの件数検出や、近年開発が進む洋上風力による風力発電所のモニタリングといったものへの活用も進めております。また、潮目や漁場の検出による漁業への活用のほか、既に他企業にて行われている取り組みですが、我々も養殖への活用を進めております。

海洋安全保障の分野では、AISの信号とSAR画像を組み合わせて不審な船舶を発見するといった活用もあります。船の種類や移動の方向などをより高精度に検出するAIの開発も行っております。

こういった様々な衛星データの活用によって、解決できる様々のSDGsのゴールがあります。そういったものに対応できるようにユーザーニーズにお応えする形で、実際に社会で使えるアルゴリズムをたくさんいろんな形で作っております。我々は特に一つの分野に特化をしてサービス化を進めるという形ではなく、様々な分野で使えるようにアルゴリズムを開発することで、実際に問題に取り組まれている企業や、既に顧客をお持ちの企業に利用していただき、非常に難解なSARデータをより有効的に簡単に使ってもらえる、そういったツールの開発を行っております。

鳥取でのとりくみ 一次産業と宇宙産業の連携

先ほど、鳥取の米子に拠点がある旨ご説明しました。私は鳥取の米子市の出身でして、鳥取も昨年から宇宙産業への取り組みを行っております。このきっかけは、先日月面の着陸を試みたispaceのローバーの実験環境として鳥取砂丘を使ったことなどがあります。
今後の地方都市の管理や、進めていかなければいけない SmartCity SmallCity という点も衛星データの活用は非常に有効なので、鳥取県全体をテストフィールドとして活用する取り組みを進めております。

私の地元ということで、知り合いが多かったりとか様々なお願いはしやすいということもあって、場所を選んでおります。また、市街地か畑であったりとか、漁港であったりとか、名産品でのような一次産業が、街から近いということもありますので、地上のデータの収集を中心に今行っております。まず、農業につきましては作付状況や収穫状況の把握をしております。また、漁業や林業も広く立地しておりますので、そういったデータ収集を今後進めてまいります。また、収集したデータをAIに教え込む教師データの作成も既に鳥取県の方で進めておりまして、PCが得意な主婦の方や学生さんに、まず教師データの作成を通じて衛星データに親しんでいただく取り組みを行っております。さらには、衛星データの利用技術を様々な産業に使ってもらうためのコーディネーターの育成も含めております。
米子のオフィスは明治時代の築130年の蔵を改装しまして計測作業の管理であったりとか、教師データ作成ですね。そういった作業を行っております。

鳥取では、特産品の白ネギの育成状況をSARで観測するということを進めております。一昨年は鳥取県の東の方を対象に、アメリカの超小型Xバンド衛星CapellaSpaqceのストリップマップの3m解像度の画像を使いました。5キロ×20キロぐらいのデータが取れるんですが、その中のごく一部分の小さなねぎ圃場だけを使っていて、非常に勿体ない使い方ではあります。また、ネギの丈、圃場に掘られる溝の長さ、あとはネギの刃の広がりなどの細かいデータの計測、収集を地上でも行っております。こういった取り組みがメディアでも非常に大きく取り上げていただいておりまして、昨年は平井鳥取知事を訪問して報告等を行っております。

昨年から今年にかけて撮った鳥取西部の圃場の様子です。米子空港近くに干拓地がありましてそこでネギが広く栽培されております。複数の協力農家さんの圃場をサンプルとしており、SARで観測をしながら地上でデータをとるということを進めております。そこの相関分析からですね、SAR衛星画像だけからネギの成長の状況を把握するという技術の開発を行っております。画像を見ていただきますとネギの成長に従って徐々にSAR画像が明るくなってるように見えます。こういう形で広報散乱係数が増加していきますので、値の変化や、その他の位相の情報など様々な処理を加えまして細かな生育状況を把握しております。
目標としましてはですね、SARデータから大体2~3㎝程度の誤差でネギの長さを推測するアルゴリズムの完成に向けて今開発を進めているところです。

  • こういった取り組みを通じて、地上データの計測であったりとか、取得の人材体制を社内で確立する、またそれを活用する利活用のコーディネーターであったりとかこのAIの使い方がわかる人材を鳥取県内で増やし、最終的にはAIの開発自体も地方の環境を生かして広げていきたいと考えております。様々な衛星がこれからも上がってきます。新しいコンステレーションを同じように活用していくためには、Ground truthを地上で集めていく必要があります。鳥取をモデルケースにしてこれが成り立てば全国どこでも同じようにできると考えており、モデルケースの形で地方の活性化というものも進めております。
    ちょっと話は脱線しますが、全国で進められているスペースポートの利活用も宇宙関連企業ということで働きかけをしております。近い将来には、米子から宇宙に行ける世界に行ける状況も作っていければなということで、夢のある部分もいろいろ取り組んでいるところです。

以上になります。ご清聴ありがとうございました。