COP27でのイベント開催 – 交渉の隣で
1月6日から20日にかけて、エジプトのシャルム・エル・シェイクで国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第27回締約国会議(COP27)が開催され、気候変動対策の一層の強化を求める「シャルム・エル・シェイク実施計画」が採択されました。
世界各国から33,449人(!)もの方が集まったこの会議、日本からは西村環境大臣が出席し、各省の関係者から成る日本政府代表団とともに各国と交渉を行いました。
UNFCCC公式サイドイベント及び公式展示の実施
このCOP27にはRESTECも出席し、UNFCCCが認定する公式サイドイベントを実施しました。
「Forests in Africa – How satellites support climate actions!」と題したこのイベントは、衛星による森林管理に焦点を当て、以下の4機関との共催として実施されました。
●宇宙航空研究開発機構(JAXA)
●欧州宇宙機関(ESA)
●森林および土地被覆変動に関する地球観測(GOFC-GOLD)
●ポツダム地球科学研究センター(GFZ)
サイドイベントに併せ、 11月7日から11日にはCOP27の会場内でブースを設置し、公式展示を実施しました。この展示は下記3機関との共同で実施し、RESTECは、衛星を用いた温室効果ガスの観測や、森林の監視・管理について来場者に説明を行いました。
●宇宙航空研究開発機構(JAXA)
●国立環境研究所(NIES)
●地球環境戦略研究機関(IGES)
なぜRESTECがCOPでイベントを開催できるのか
RESTECは2015年にパリで開催されたCOP21以降、コロナ禍の時期を除いて毎年COPに参加してサイドイベントを開催しています。なぜ、政府の機関ではない一般財団法人のRESTECが、国連の会議であるCOPで公式イベントを開催できるのでしょうか?
実は、RESTECはUNFCCC事務局が認めるオブザーバーとして登録されており、COPに参加し、イベントや展示を実施する権利を持っているのです。
とは言え、権利を持っていれば誰でもイベントや展示を実施できるとは限りません。COP27には、RESTECのようなオブザーバーの権利を持っている組織が約2,000参加しています。当然ながら、2,000ものイベントや展示を実施できる期間とスペースは無いので、事務局が選定を行っています。
しかし、事務局も暇ではないので、約2,000ものイベント内容を精査する時間はありません。そこで、組織同士の共同開催を促し、より多くの組織が共催するイベントや展示を採択しています。RESTECもJAXAやESAなどとの共催にすることで、イベント内容を充実させるだけでなく、採択される確率を上げているわけです。
どのような人がCOPに参加しているのか
COP27の参加者リストはこちらのページで公表されており、数をまとめると下表の通りです。交渉に参加したのは195カ国16,118人ですが、オブザーバー枠の参加者は交渉には参加せず(参加できない)、イベント等を通じて気候変動対策に関する取組みや技術を紹介し、情報や意見の交換を行いました。
組織数 |
人数 |
|
---|---|---|
各国政府 |
195 |
16,118 |
オブザーバー |
1,919 |
13,981 |
メディア |
1,306 |
3,350 |
合計* |
3,418 |
33,449 |
*組織の合計数は計算が合わないが、UNFCCCの発表の数字に合わせている
この表の「オブザーバー」のうち1,751機関はNon-Governmental Organization、つまり非政府組織(NGO)で、RESTECもここに含まれています。また、この表の数字には、主催国の関係者やローカルスタッフの他、「Overflow」と呼ばれる各国政府の関係者が含まれておらず、実際にはさらに数千人の参加者があったと思われます。
どうすればCOPに参加できるのか
メディア以外の方がCOPに参加する方法は主に3つあります。
●政府の代表団に交渉官として参加する
●政府の代表団に「Overflow」として参加する
●UNFCCCに登録し、オブザーバーとして参加する
「Overflow」は、直訳すれば、氾濫する、あふれ出る、といった意味ですが、各国政府は交渉を担当する職員以外にも、COPへ帯同してもよい人の枠を持っています。この方々は交渉には直接参加せず、主に気候変動対策に関する取組みや技術を紹介するために参加しています。
オブザーバーとしてCOPに参加するにはUNFCCCに申請書を提出し、厳正な審査を受ける必要があります。この審査には1年以上かかり、2023年にドバイで開催されるCOP28への登録は既に締め切られています。もし皆さんがオブザーバーとしてCOPへの参加を希望する場合、2024年のCOP29からの参加を目指し、2023年8月までに申請書を提出する必要があります。
申請手続きについてはこちらのページに詳しく記載されています。
最後に
今やCOPは交渉だけでなく、各国・組織の取組みや技術を紹介し、情報を交換するためにも重要な場になりました。規模が大きくなりすぎた感はありますが、それだけ気候変動への関心が高まっており、対策が実施される範囲も広がっています。衛星データを活用することで、RESTECも気候変動対策に貢献して参ります。