2.5m解像度「AW3DⓇ全世界デジタル3D地図」を提供開始

2019年07月01日
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2.5m解像度「AW3D?全世界デジタル3D地図」を提供開始

~新たにSDGs「13 気候変動に具体的な対策を」実現の取り組みにも貢献~

一般財団法人リモート・センシング技術センター(以下:RESTEC)と株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、解像度2.5mで提供する3D地図「AW3D?2.5m標準版地形データ」を7月1日より販売開始します。

デジタル3D地図提供サービス(AW3D)は、2014年に5m解像度で世界中の陸地の起伏を表現しました。現在、世界115カ国以上で利用されています。今回、2.5m解像度の3D地図の提供により、都市や地形がより詳細に再現されるようになります。これにより、都市計画や自然災害の被害予測に対し、より正確な分析業務などへの活用が期待でき、SDGs(注1)(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)の「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」「11 住み続けられるまちづくりを」「13 気候変動に具体的な対策を」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」実現に向けた取り組みに貢献します。

両社は、本サービスを一部エリアから提供開始し、2019年内に全世界の提供を開始する予定です。本事業を通じて、両社はグローバルな地理空間情報の活用ならびに関連産業の振興に取り組み、2022年度までに50億円の売り上げを目指します。

背景

近年、国連サミットにおいてSDGsが採択されたことに伴い、世界規模で、持続可能な都市開発や気候変動などに関する課題への対応の動きが広がっています。自然災害予測の精度向上や都市計画マスタープランの策定などに向けて、地理空間情報にはより精度の高い地形情報が求められています。
こうした背景から、RESTECとNTTデータは、SDGs「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」「11 住み続けられるまちづくりを」、「17 パートナーシップで目標を達成しよう」の実現に向けた取り組みとして、衛星画像からより詳細な3D地図情報を抽出する技術を開発してきました。そして今回、2.5m解像度の3D地図「AW3D2.5m標準版地形データ」の製品化により、新たに「13 気候変動に具体的な対策を」の実現を目指します。本製品は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち(ALOS)注2」によって撮影された約300万枚の衛星画像を用いています。世界中の都市や地形がより詳細に再現されるため、世界規模の都市や環境、防災のシミュレーションや分析へ活用することが可能となります。7月1日に、順次整備済エリアから提供を開始し、2019年内に全世界の3D地図の提供を行う予定です。

「AW3D2.5m標準版地形データ」について

全世界を2.5m解像度でカバーしたデジタル3D地図です。地形をより正確に表現できるよう、高さの値には浮動小数型を採用しており、滑らかな地形表現が可能です。2.5m解像度では、5m解像度と比較して以下のものが明瞭に表現されます。
・地形の細かな起伏表現
・沿岸部の埋立地、幅の狭い河川や水路の表現
・建物や高架などの都市構造物
・道路などの平坦な構造物

AW3D 5m標準版地形データとAW3D 2.5m標準版地形データとの比較

用途

2.5m解像度では、都市計画や自然災害の被害予測などにおいて、より正確なシミュレーションや分析業務が行えます。地図縮尺1/25,000相当の精度を有しており、国レベルでの基盤地図情報としての利用に最適な3D地図です。

用途例
気候変動 ・洪水、高潮等の浸水被害シミュレーション、ハザードマップ作成
・海面上昇の影響調査
・土砂災害のハザードマップ作成

都市 ・国家規模の地形図作成
・都市計画マスタープランの策定
・大規模インフラの建設箇所、ルート計画
保健・水・衛生 ・河川流域解析
・地形解析による地下水調査、井戸掘削箇所の選定
・流路把握によるウイルス感染ルートの識別
イノベーション ・航空機・ヘリ・ドローンの飛行計画
・自動車ナビゲーションの高度化
・無線ネットワーク設計シミュレーション
・衛星画像、空中写真等のリモートセンシングデータの補正
海洋資源・陸上資源 ・鉱山開発の有望地域選定
・地熱エネルギー調査
エネルギー ・風力発電、太陽光発電の適地シミュレーション
教育 ・コンピューターグラフィックス等の映像制作
・地理、防災教育等の教材制作

価格

・500円/km2~(10,000km2未満の場合)

今後について

全世界デジタル3D地図の高精度化、最新化に取り組むとともに、都市や防災に関する付加価値情報の提供や、特定業務に向けた地図のカスタマイズを行います。また、地理空間情報を活用しているシステムとの連携等により、一層の地理空間情報の利用拡大、市場創出に取り組み、SDGs実現へ貢献していきます。

(注1) 2015年9月に国連サミットで採択された2016年から2030年までの持続可能な開発に向けた国際目標のこと。
(注2)陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS, エイロス):2006年1月から2011年5月まで運用された日本の地球観測衛星で、高精細な全世界観測を実施し、地図作成・更新、災害状況把握、地域環境観測等に貢献しました。本事業では運用期間中に撮影された約650万枚の画像のうち、パンクロマチック立体視センサー(PRISM, プリズム)が撮影した被雲が少ない約300万枚を活用しています。

※ 「AW3D」は、一般財団法人リモート・センシング技術センターと株式会社NTTデータの登録商標です。
※ その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

製品・サービスに関するお問合せ先

一般財団法人リモート・センシング技術センター
ソリューション事業第二部 AW3D事業推進室
若松、石館、岩田
Tel:03-6435-6789

参考

  • AW3Dについて
    2014年2月、RESTECとNTTデータは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち(ALOS))」が撮影した約300万枚の衛星画像を使い、世界で初めて5m解像度の数値標高モデル[Digital Elevation Model(DEM)]で世界中の陸地の起伏を表現している全世界デジタル3D地図のサービス提供を開始しました。
    2015年5月からは、都市計画等の分野において利用を広げるために米国の民間衛星会社DigitalGlobeの衛星画像を活用した高精細版3D地図の提供を開始しました。これにより最高50cm解像度を実現し、都市エリアを中心とした「建築物」レベルの細かな起伏の表現が可能となりました。さらにAI等最先端技術を用いた地物情報抽出にも取り組んでおり、お客さま業務の短工期化、低コスト化を支援しています。
    AW3Dは、世界115カ国以上・900プロジェクト以上で、新興国におけるインフラ整備や防災対策などの社会問題の解決に活用されており、社会および経済発展へ貢献しています。

    AW3D Webサイト