タイ洪水2011年10月28日~2011年12月21日

タイ、バンコクでの洪水被害観測の支援について

2011年12月21日

タイの首都バンコクでは、2011年11月、大洪水により大きな被害が発生しました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、タイ政府によるバンコク地域の洪水災害管理の支援のため、タイ地理情報・宇宙技術開発機構(GISTDA: Geo-Informatics and Space Technology Development Agency)に協力して、航空機搭載レーダ(Pi-SAR-L)システムの運用によるバンコクの洪水観測を実施しました。RESTECは本観測を現地および日本国内で支援しました。

Pi-SAR-L観測データと冠水域を抽出した画像

図1

図1は11月5, 7日のバンコク、ドンムアン空港周辺のPi-SAR-L観測データとそこから冠水域を抽出した画像です。Pi-SAR-Lの観測画像ではSARの特性から冠水面など滑らかな表面は暗く(黒く)見えます。この特性を利用して、画像中の暗い箇所と明るい箇所を分類して冠水域を見究めています。

その他の詳しい観測結果は、以下リンク先のJAXA/EORCのWEBサイトをご参照ください。

【THEOS】タイ洪水被害の画像を公開しました

2011年10月28日

以下に掲載の画像は、2011年10月19日に観測されたTHEOS画像のパンシャープン画像です。
図1の画像は、タイ・バンコク中心部の北46キロに位置する「ナワナコン工業団地」を含む、およそ22km四方の範囲を撮影したものです。画像左側付近に氾濫したチャオプラヤ川が確認できます。

THEOS(テオス)衛星によるタイ洪水被害地域の観測画像

図1:THEOS(テオス)衛星によるタイ洪水被害地域の観測画像

図2の画像は、図1の赤枠部分の「ナワナコン工業団地」を拡大したものです。敷地全域が浸水している様子が確認できます。同工業団地には、100社を超える日系企業が入居しており、洪水被害の影響が懸念されます。

図1赤枠範囲の拡大画像
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図2:図1赤枠範囲の拡大画像

THEOS(テオス)衛星とは

THEOS(Thailand Earth Observation System)とは、タイ地理情報宇宙開発機構(GISTDA)が、2008年10月1日に打ち上げたタイ国初の地球観測衛星です。カラー情報を持つ分解能15mの光学センサと白黒の分解能2mの光学センサを搭載しています。THEOSは、広域且つ定期的な観測手段として、地図作成、災害観測、環境監視、更には農林業分野での活躍が期待されています。
RESTECは、2010年6月15日にGISTDAと覚書を締結し、日本、韓国及び台湾のユーザに対し、THEOSデータを配布する権利を取得しました。RESTECは、日本における唯一のTHEOSデータ配布権者です。

THEOSについての詳細は、こちらをご覧下さい。