人工衛星から観た中国の洪水に係わる湛水地域の時系列変化の解析事例について1998年8月27日 〜 1999年1月18日

一般財団法人 リモート・センシング技術センター

一般財団法人リモート・センシング技術センターは、米国海洋大気庁(NOAA)が公開している米国の周回型気象衛星(DMSP)搭載の特殊マイクロ波撮像装置(SSMI)により観測されたデータを入手し、中国における洪水に係わる湛水地域(青い部分)の時系列(7月から8月の間)変化を解析しましたので、その解析事例に示します。
これによれば、湛水地域が2ヶ月弱の間に時と共に、地域毎に縮小したり拡大していった模様を大まかに推定することが出来ます。
この解析画像は、左から1998年7月11日、7月26日、8月4日、8月21日の朝7時頃にF13号で撮影された19ギガヘルツ水平偏波の輝度温度画像です。輝度温度を色に対応させて表現しています。水面は地面に比べ放射率が小さいため、輝度温度が低くなっています。青い部分(濃青および淡青)は地表面に占める水面の割合が大きいことを示します。

dmsp

観測エリア

参考地図

dm_map

湛水面積率(推定)

濃青 20-30%
淡青 10-20%

湛水面積率の変化

7月11日: 揚子江河口域の湛水面積率が大きかった。
7月26日: 洞庭湖、武漢付近の水面が拡大している。河口域では縮小
8月 4日: ポーヤン湖、蘆山付近の水面が拡大している。洞庭湖付近では縮小。
8月21日: ハルビン西方の東北平原の水面が拡大している。この区域に油井あり。
状況の推移は、湛水面積率の大きさではなくその変化によって推定しました。
(湛水面積率:地表面に占める水面の割合をいう。)

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補足説明

NOAA
National Oceanic and Atmospheric Administration (USA)
DMSP
Defense Meteorological Satellite Program
SSMI
Special Sensor Microwave Imager

  • DMSP衛星は、太陽同期で極軌道を周回する気象衛星。
    現在、米国はF10, F11, F13, F14の4機を運用中。
  • SSMIは7チャンネル4周波数帯域を観測する受動型マイクロ波放射計である。
    19.35Ghz, 22.235Ghz, 37.0Ghz, 85.5Ghz.
    幅1400kmを円錐型に走査する。一回の走査で64点を観測する。

・空間解像度(有効視野):19Ghz水平偏波の場合、69km(along)x43km(crosstrack)
・入射角:53.1 degrees
・衛星高度(F13の場合):840km(minimum)~875km(maximum)