2種類のセンサーで見た画像を合成して緑地を探す

人工衛星から地球を観測しているセンサーには大きくわけて、太陽の光の反射をとらえ、人間の目で見える可視光から赤外(近赤外、中間赤外、熱赤外)までの範囲で観測する光学センサーと、地表から自然に出ているマイクロ波をキャッチしたり、人工衛星からマイクロ波を地表にあててその反射をとらえるマイクロ波センサーの2種類があります(図参照)。ここに紹介するのは、この2種類のセンサーで観測した2枚の画像を合成したものです。

2種類のセンサー長所と短所は?

まず最初に、合成に使われた2枚の画像から見てください。

左下はアメリカの地球観測衛星ランドサット5号がセマティックマッパ(TM)という光学センサーでとらえた東京周辺の画像です。TMは緑地など、地表の様子をとらえることが得意ですが、分解能(センサーが地上のどのくらいの大きさのものまで見分けることができるかを表したもので、メートルで示します)は 30mで、30m四方の中に緑地と建物の両方があった場合、どこが建物でどこまでが緑地なのかを区別することはできません。また、光学センサーは太陽の光を利用して観測しているので、霧があるところや夜間は観測することができません。

合成に使われたもう1枚は、右側の画像です。これはカナダの地球観測衛星レーダーサットに搭載された合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar=SAR)を使って、マイクロ波の目で見た画像です。SARは道路や建物、橋、埋め立て地など、人工的につくられたものをはっきりととらえることができます。レーダーサットのSARの分解能は6mで、TMよりもずいぶん細かいところまで見ることもできます。また、SARは雲を通過するマイクロ波で観測しますから、天候や昼夜に関係なく、頻繁に観測することもできます。

しかしこの画像を見てもわかるように、SARの画像は白黒ですし、TMのように山間部や河川敷など、草木の生えている緑地をはっきりと見ることはできません。

このように2種類のセンサーにはそれぞれ、長所と短所があります。

合成画像で緑地がはっきり見えた

さて、2枚の画像を合成してつくられたのが下の画像です。緑色の部分が緑地ですが、TMで観測した画像と比べると、緑地の範囲がより細かくわかるようになりました。6mの分解能を持つレーダーサットのSARデータを合成したことで、緑地の範囲を細かく特定できたのです。

  • 画像合成の技術は今後、組み合わせる画像の種類によって、様々な情報をより詳しく知るために役立てられそうです。そしてさらに、この合成画像を地図とあわせて、詳しい公園や緑地の分布図もつくられはじめています。