広がる東京の暑い夜

東京の温度変化

東京の夏の夜は、昔と比べて暑くなっていると言われています。畑や林がマンションやビルに変わるなど市街化が進むことで熱を蓄積しやすい材質のものが増えたり、人間の生活によって多くの熱が発生しているためではないかと考えられています。
そこで、人工衛星のデータを使って、1984年と1994年の東京の土地の利用状況と、夏の夜の地表面の温度を調べてみました。使ったのは、アメリカの衛星ランドサットのTMというセンサーが観測した8月の夜9時ごろのデータです。TMのバンド6は熱赤外という波長帯で、物体が出す熱の放射を観測しています。そのデータから温度を求めることができるのです。

温度の上昇

地表面温度を調べた結果を表したのが下の画像です。赤~黄~緑~青と高温から低温に色分けしていますが、これは、1984年と1994年の都心(千代田区)の地表温度が同じ色になるように表してあります。都心と同じ高温の地区は1984年にはだいたい23区内に限られていたのですが、1994年には西の多摩地区まで広がっています。

市街地の変化

一方、この10年の間に市街地になった地域を画像の黄色で表しています。市街地が西に向かってどんどん広がっていることがわかります。その地域が赤色の高温地域とほぼ重なっていますね。つまり、郊外で温度が上がった原因として、市街化が進んだことが大いに考えられるのです。

周りの市街化も高温の原因に

市街地になると、地表面の温度が上がることがわかりました。では、もともと市街地だったところの温度は変わっていないのでしょうか。同じくランドサットのデータから調べてみると、以前に市街地だった場所も、周りの土地が市街地になった影響を受けて温度が上がっていることがわかりました。このように、地球観測衛星を用いると、広い範囲にわたって、土地の利用と温度の関係も調べることができます。