海の画像からわかること

台風の通った後の海岸の表情

写真は1979年10月に台風20号が通った後の静岡県、駿河湾から太平洋の沿岸をとらえた画像です。台風のもたらした大雨で天竜川や大井川、安倍川などの川は増水し、土砂をけずって、海岸や駿河湾まで濁った茶色い水を運んでいる様子がわかります。この流れは、太平洋の方に広がらずに、黒潮の流れにのって海岸沿いに東の方に流れています。また、駿河湾に流れ込む濁り水の広がりを見ると、湾内の水の流れ方もわかります。

  • (Processed by NASDA)

この観測に使われたのはランドサット衛星のMSS(マルチスペクトル・スキャナー)というセンサーです。MSSは4つの観測波長帯をもっていますが、この画像はそのうち濁水を見るのに適した2つの波長帯のデータを用いています。さらに濁水の様子がよくわかるように画像を色付けしているため、全体が青く見えています。

台風の通った後の海岸の表情

  • 写真は1992年9月9日10時38分の東京湾の様子です。黄色い○印は止まっている船、緑色の矢印は動いている船(移動の距離は実際の4倍の長さにしてあります)、そして赤い矢印は東京国際空港(羽田)に着陸しようとしている飛行機です。これは、日本の地球資源衛星「ふよう1号」の光学センサー「OPS」で観測した画像から作られました。衛星はあっという間に飛んでいってしまうのに、なぜ特定の間に船が動いた距離や方向までわかるのでしょうか。
  • このセンサーには、衛星の真下を見るバンドと15.3度前方を見るバンドがあります(図1)。衛星は地球の上空570kmを飛行しているので、前の方を向いているバンドがある場所を観測し、真下を向いているバンドがもう一度同じ場所を観測するまでに21秒の時間があります。その2枚の写真を比べると、船が止まっているか、動いているか、また動いている場合にはどの方向にどのくらいの距離を動いているかもわかります。

    このセンサーは18m以上の物体をとらえるので、船の中でも大型のタンカーなどが中心になります。東京湾、川崎港や横浜港のあたりは特に船が集中していて、港に入る順番待ちのため止まっている船も多く見られます。このように、地球観測衛星を海上交通の情報収集に役立てられることがわかります。

    • (MITI/NASDA/RESTEC)