文人の愛した武蔵野 桜桃忌に寄せて

2023年06月19日
  • 画像をクリックすると禅林寺の位置をご覧いただけます。

三鷹市を中心とした武蔵野エリアの、建物や樹木などを含めた標高を表すDSMデータです。この画像からは多摩川によって形成された武蔵野の河岸段丘の様子がはっきりと確認できます。
画像左下の味の素スタジアムや調布飛行場は低位面の立川面、国分寺崖線より北側が高位面の武蔵野台地です。
関東ローム層に覆われた台地は水が乏しく、荒涼とした原野が広がっていましたが、江戸時代に玉川上水などを開削、水源を確保して開拓が行われたことで豊かな田園風景が生まれました。

近代において、武蔵野はその豊かな風景から多くの文人たちに愛されました。
国木田独歩は「武蔵野」で美しさを讃え、山本有三は玉川上水ほとりの洋館で「路傍の石」を執筆しました。現在は「三鷹市山本有三記念館」として公開されています。

中でも有名なのは太宰治です。
1939年30歳の時に三鷹に居を構え「斜陽」「走れメロス」「人間失格」などの作品を残しましたが、1948年6月19日に玉川上水で発見されました。太宰は、生前その作中で記した通り、尊敬する森鴎外の墓所と同じく三鷹市の禅林寺に葬られています。
6月19日は太宰晩年の短編小説「桜桃」にちなんで「桜桃忌」と言われ、禅林寺をはじめとする太宰ゆかりの地を多くのファンが訪れます。


AW3Dは2022年からアルゴリズムを改良したことで、DEMの地形再現性向上とオルソの鮮明さが向上しました。高精細DEMのサンプルとして武蔵野エリアのデータを配布しています。

関連リンク