自然と共生する最北の玄関口

2022年02月14日

陸地の起伏を表現した3D地図画像(左側:AW3D 標準版地形データ)と、人の目と同じように見える衛星画像(右側:AW3Dオルソ画像)の組み合わせで稚内空港周辺をご覧いただきます。

稚内空港は宗谷地域と札幌・東京を結ぶ路線として昭和35年に開港し、昭和59年には1,800mの滑走路を持つ日本最北のジェット化空港となりました。現在では2,200mまで滑走路が拡張されています。

画像のやや左に位置するハートは、面積約25ha、最大水深約2mの海跡湖 メグマ沼です。
一帯の約78haに及ぶメグマ沼湿原は国内最北の湿原として環境省の重要湿地にも選ばれ、北海道の自然景観保護区に指定されています。

北海道には、他にも釧路湿原やサロベツ原野などの有名な湿地がありますが、湿地は冷涼な地域で形成されやすいといわれています。
世界の湿地の保全を提唱したラムサール条約に選定されている日本国内の湿地53箇所のうち、13箇所は北海道にあります。また、1990年代に国土地理院が実施した湿地面積調査では全国の湿地面積の86%を占め、第一位でした。

しかし現在、世界では1970年~2015年の55年間で約35%の湿地が消失し、そのスピードは森林が消失する割合の3倍もの速さと言われています。日本でも、大正時代に1771.99㎢だった北海道の湿地は1999年には708.67㎢に減少しています。

湿地は、多様な動植物の生育・育成の場になっており、生物多様性の観点でも重要な役割を果たしています。
稚内空港建設に際しては、湿地保護に努めつつ一帯が空港公園として整備されました。そのためメグマ沼湿原では今でも季節に応じて200種類以上の湿生植物が自生し、北海道の一部にしか生息していないコモチカナヘビや約70種類の野鳥を見ることができます。

北の玄関口は、自然と触れ合える憩いの場の役割も担っています。

地名(国名)稚内空港(日本)
画像製品AW3D標準地形データ(5m)、AW3Dオルソ画像
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