RESTECの現在と今後の展望 -RESTEC Forum2023

2023年11月08日


RESTECフォーラム2023 RESTECの現在と今後の展望
講演:経営企画部長 山本 彩

はじめに

昨年度このRESTECフォーラムで「~New Trends of Remote Sensing~リモートセンシングの新たな潮流」と題して、新しい衛星データやサービス、それらの提供のありようなどについてご紹介いたしました。今年は『現代版「三方よし」の実現に向けて~RESTECのSDGsへの挑戦~』と題してRESTECの活動をご紹介したいと考えております。「三方よし」という言葉は皆様もご存じかと思います。リモートセンシング技術の活用によって得られる良い価値を、お客様と社会と自分たちの三方それぞれに創造していきたいという我々の取り組みをご紹介したいと考えております。そしてこれらの取り組みがどのようにSDGsにも挑戦できるかといったところもあわせてお伝えできればと考えております。

この「三方よし」とは、改めてご紹介するまでもありませんが、近江商人が理念として掲げていた「世間様よし、買い手よし、売り手よし」の精神です。今回RESTECの目指す「三方よし」とは、我々がお客様の課題解決に注力しお客様の事業の拡大へ繋げていただきたいという「お客様よし」、そしてお客様の課題解決が社会や地球の課題解決にも繋がる「社会よし」、最後に、我々自身も事業を拡大しつつ技術力や企画提案力などの蓄積に繋げる「RESTECよし」、と考えています。

経営方針の策定について

昨年度、RESTECは経営方針を十数年ぶりに見直し策定いたしました。といっても、定款に掲げている理念を大きく逸脱するものではありません。

経営方針は、経営理念とビジョンの二つに分けて考えをまとめました。経営理念としては、「RESTECは、リモートセンシングに関する広範かつ基礎から応用にわたる技術開発に取り組み、その利用の拡大と社会実装を通じて、社会経済の発展並びに人々の生活の向上に貢献する」としております。そしてこの経営理念が目指す姿のイメージとしてまとめたのが、ビジョンです。ビジョンとしては、キャッチフレーズ的ではありますが、「リモートセンシング技術で豊かな未来を拓く」ことと、キーワードとして「高める・つなぐ・分かち合う」という言葉を取り入れています。

このビジョンが、先ほどお話した、現代版「三方よし」にも繋がると考えています。我々の技術力を「高める」ことは「RESTECよし」ですが、その高めた技術力を活かして、「つなぐ分かち合う」というところでリモートセンシング技術に関わる開発利用の成果を、多くの分野に役立つ価値のある情報にして、社会や生活設計、人々を繋いでいきたい。これが「お客様よし」「社会よし」に繋がっていくと考えております。さらに、リモートセンシング技術に関わる開発利用の成果を、広く国の内外の社会とも分かち合うことを通じて「社会よし」を実現していきたいと考えております。

経営理念のもと、このビジョンを達成するために、これまでの事業の区分を少し見直し、六つの事業区分として、それぞれに注力していきたいと考えています。

  • まず、財団の特色であります衛星地球観測に関する上流から下流までの工程に改めて注力したいと考えました。これまで衛星観測運用事業として行っていた「運用」を含め、もう少し上流から下流の流れを全て含むということを名称にも示すため、『衛星地球観測事業』と改めました。同時に、『研究開発事業』との関係を整理いたしまして、『衛星地球観測事業』と『研究開発事業』とを技術的な二つの柱として、引き続き取り組んでまいります。 これらの事業で得て蓄積してく技術に、『シンクタンク事業』で得られる知見を合わせて、『ソリューョン事業』によって社会実装を実現していくというのが、四つの事業の大きな流れでございます。
    また、公益性の高い事業にも引き続きバランスよく取り組みたいという想いもございます。こちらに関してはこれまで長く実施していた『人材養成事業』を引き続き実施するとともに、社会に対するリモートセンシング技術の普及促進にも力を入れていきたいと考え『普及促進事業』を事業として区分し、公益性の高い二事業として、進めてまいります。
  • 六つの事業

そしてこれらを踏まえ、2023年度から2025年度までの3年間の「2023中期事業計画」も見直しております。今後我々を取り巻く状況は、様々な衛星や仕組みが整い、流れが加速してきている時代だと思っております。そのような数年後に備えるために、この3年間を中長期の発展と成長を実現するための経営変革期として捉え、将来の「三方よし」に繋がるような力を蓄えたいと考えております。
そのために「2023中期事業計画」の中では、大きく三つの方針を立てました。
一つ目が技術開発力および製品開発能力の強化、そして二つ目が収益事業の確実な実施と、新しい分野への挑戦です。さらに、これらを成り立たせつつ、公益性の高い事業に関してバランスよく継続的に実施していくことを三つ目の方針として考えております。
この「2023中期事業計画」によって、多様な国や機関による様々な衛星が充実し宇宙技術の活用が一層推進すると期待される3年後に、財団事業を飛躍させたいと思います。

RESTECフォーラム2023における報告とSDGsとの対応

  • このような中、本日のRESTECフォーラム2023でご紹介する取り組みにおける、SDGsに対するアプローチをご紹介いたします。
    また、RESTECは本日ご紹介する取り組み以外にも様々な取り組みを行っています。例えばですけれども、14番の海の豊かさに関しては、藻場など海の情報を衛星から観測するような事業にも参加させていただいておりますし、15番の陸の豊かさでは、熱帯性の森林の変化の様子を捉えるJJ-FASTと呼ばれているJAXAプロジェクトの支援事業などがございます。

    衛星データを使った我々の事業が、どのようにSDGsと関わっているのかということをご理解いただけると嬉しく存じます。

さいごに

我々は、本日ご紹介した経営方針および2023中期事業計画を踏まえまして、現代版「三方よし」の精神にのっとりかつSDGsを意識した様々な取り組みを、新たに区分した六つの事業の中で実現させていきたいと考えております。ですが、リモートセンシングだけ、また、RESTECだけ、で、できることは限られております。ですので、皆様の事業において、リモートセンシングで実現できないか、何かアイディアはないかといったようなお話がございましたらぜひお声かけいただき、一緒に考えさせていただきたいと考えております。本日のフォーラムをきっかけとして、いつでもどんなことでも構いませんのでご連絡いただければ幸いです。これからも引き続き我々の活動に対してご理解、ご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

私からのご報告は以上になります。ありがとうございました。