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プログラム

第3回GEOSSアジア太平洋シンポジウム

〜GEOSSの分野横断的データ共有を目指して〜

2009年2月4日―6日 京都リサーチパーク、京都市

●全体プログラム

2月4日(水)全体会合(同時通訳付き)

09:30-10:00 受付・登録
10:00-10:05 開会挨拶
    Prof. Jose Achache, Secretariat Director of GEO

10:05-10:10 歓迎挨拶
    文部科学省

10:10-11:00 基調講演
    Empower the Communities with the Virtual Earth Technology: (Dr. Vincent Tao, Microsoft)

11:00-12:00 GEOSSの活動(Architecture and Priorities)

    GEOSS priorities in 2009-2011

    (Prof. Jose Achache, Secretariat Director of GEO)

    GEOSS Architecture and Data Management

    (柴崎亮介、文部科学省)

    Network Opportunities for GEOSS

    (Dr.Richard Hughes-Jones, Delivery of Advanced Network Technology to Europe (DANTE))

 

12:00-13:30 写真撮影 及び昼食

13:30-15:00 アジア諸国及び地域のGEOSS活動報告

    日本 (田中正明, MEXT)

    オーストラリア (Dr. Gary Richards, DCC)

    バングラデッシュ(Md.Zahidur Rahman, MOD)

    中国(Dr. Wang Guofu, CMA)

    インドネシア(Dr. Mahdi Kartasasmita, LAPAN)

    韓国(Dr. Yong-Seob Lee, KMA)


15:00-15:30 休憩

15:30-16:15 アジア諸国及び地域のGEOSS活動報告(つづき)

    パキスタン (Dr. Qamar-Uz-Zaman Chaudhry, PMD)

    タイ(Dr. Phuriwaj Ruengnaowaroj, GISTDA)

    アジア太平洋地球変動ネットワーク (Dr. Linda Anne Stevenson, APN)

    国際総合山岳開発センター (Mrs. Mandira Shrestha, ICIMOD)

 

16:30-17:30 分科会のテーマと課題の紹介

17:30-17:35 展示の紹介

18:00-20:00 レセプション(於 東急ホテル)



●2月5日(木)分野別分科会と分野間連携合同分科会プログラム

8:30-9:00 受付・登録

9:00-12:00 分野別分科会


4つの分野別分科会と2つの分野間連携合同分科会を開催します。GEOSSに関する活動、特にアジア太平洋地域での活動に焦点を当てて、発表・討論を行い、GEOSSの実施に対して貢献する将来の活動を定めることを目的とします。

 


-分野別分科会-

  1. 気候変動の監視と予測
        共同議長:野尻幸宏、三枝信子(国立環境研究所)

  2. アジア太平洋地域の水循環
        議長:小池俊雄(東京大学)

  3. 生態系、生物多様性及び生態系サービスにおける変動監視
        議長:矢原徹一(九州大学)

  4. 災害管理のための地球観測とデータ共有
        共同議長:寶馨(京都大学)、沢田治雄(東京大学)、島田政信(宇宙航空研究開発機構)

12:00-13:00 昼食

13:00-15:00 分野間連携合同分科会


-分野間連携合同分科会-


  1. 気候、水循環及び災害の実現性のある分野間連携に向けて
        共同議長:小池俊雄(東京大学)、中北英一(京都大学)

  2. 生態系、気候変動及び災害の分野間連携を通して、観測、予測とデータ共有の必要性と可能性
        共同議長:山形与志樹(国立環境研究所)、Alexander Held(CSIRO,オーストラリア)

15:00-15:30 休憩
15:30-18:00 分野間連携合同分科会(つづき)

 


1.気候変動の監視と予測

  7月に北海道洞爺湖で開催されたG8サミットの首脳宣言において、「地球観測データに対する需要の増大に応えるため、我々は、優先分野、とりわけ気候変動及び水資源管理に関し、観測、予測及びデータ共有を強化することにより、国連専門機関の事業を基礎とした全球地球観測システム (GEOSS)の枠内の努力を加速化する。」と述べられた。

 

  IPCC第4次評価報告書において、第3次評価報告書からの新たな知見の一つとして、人為起源の二酸化炭素収支の算定精度が向上した事が記述されている。地域的な炭素の放出源や吸収源を推定するのに用いられているトップダウンアプローチによる全球の二酸化炭素収支算定として、次のような二つの手法がある。手法の改良と新しい観測により、全球における炭素交換の量と主なフラックスの場所を推定するに逆解析法が成熟してきている。大気の二酸化炭素観測データと酸素と窒素比や炭素の放射性同位体の観測により陸域と海域における過程を区別し全球二酸化炭素収支を算出できる。

 

  IPCC AR4に示されたように、モデルと気候システムの物理過程の理解の進展により世界の多くの地域において信頼できる地域気候変動予測が可能となった。しかしながら、特に極端現象のような地域の気候変動における重要な観点に関する研究は限られている。地域スケールの影響評価の向上のために地球システムモデルをどう改良すればよいかを明らかにする必要がある。

 

-本分科会の目的は次の通りである。-

  • アジア太平洋地域における地球システムモデルによるニーズに対応する為に二酸化炭素やその他の温室効果ガス観測に関する課題について議論する。
  • 地球システムモデルを用いた気候変動予測を改善するための今後の課題を明らかにする。

2月5日(木)

共同議長:野尻幸宏・三枝信子(国立環境研究所)

09:30-9:40挨拶:GEO事務局、共同議長

9:40-10:05 遠嶋康徳(国立環境研究所)

  「酸素窒素比観測から求める陸域・海域の二酸化炭素収支」

 

10:05-10:30 Patra Prabir(海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター)

  「二酸化炭素収支のトップダウン推定:今までの知見と今後の課題」

 

10:30-10:55 Yan Xiaoyuan(中国南京土壌研究所)

  「モンスーンアジア域の農耕地からの微量気体の放出」

 

10:55-11:20鬼頭昭雄(気象庁気象研究所):(25分)

  「全球規模モデル出力を使った気候変化将来予測に関するアジアへの地域協力と地球システムモデルの今後」

 

11:20-12:00

総合討論(座長:野尻幸宏)


 

2.アジア太平洋域の水循環

  洪水はアジア太平洋域共通の深刻な問題である。世界の洪水による人的損失の80%以上が同地域で発生しているといわれ、都市化に伴う洪水による経済的被害を急増している。アジア太平洋域の多くの国が造山帯に位置しているために、土砂災害も共通の課題となっている。夏季のアジアモンスーンは通常は豊かな水環境を提供するが、同時にその大きな季節および年変動によって水消費の多い地域に甚大な渇水被害を引き起こす。地球温暖化は水循環を変化させ、豪雨の頻度や年々変動がより増すことが予測されており、高い水災害ポテンシャルに対して、河川開発・管理の程度が依然として低いレベルにある水に脆弱なこれらの地域に深刻な大きな影響を与えることが懸念されている。

 

  本分科会の目的は、アジア太平洋域の各国の水災害の状況を取りまとめ、脆弱な水環境に与える気候変動の影響を明らかにすることにある。

 

2月5日(木)

議長:小池俊雄(東京大学)

09:00-09:10 開会挨拶:GEO事務局Secretariat

 

09:10-09:40 アジア太平洋域の水循環の概観

09:20-09:50 アジア太平洋域の水災害:寶馨(京都大学防災研究所)

 

09:40-12:00 「水災害の最近の傾向」に関する各国レポート

GEOSS/アジア水循環参加カ国:バングラディシュ、ブータン、カンボジア、インド、インドネシア、日本、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、ウズベキスタン、ベトナム (各国 7分)

 


3.生態系、生物多様性、生態系サービスにおける変動監視

  気候や土地利用の地球規模での変化に対処するために、GEOSSは生態系、生物多様性、及び生態系サービスを監視するために活用される。現時点ではまだまだ弱い部分があるが、アジア太平洋地域において監視するためのいろいろな計画がある。ネットワークの確立とと能力開発がこの地域において緊急課題である。

 

  生物多様性に関しては、GEO-BONの概念文書が出版され、日本政府によって国際インヴェントリ・ネットワークを確立する計画が立ち上げられた。生態系に関しては、新しい技術によって生態系マッピングが改善されている。さらに、ILTERは生態系サービスを評価するための計画を作成した。

 

  このセッションにおいて、我々は生態系と生物多様性の分野でのGEOSSの進展を概説し、どのようにネットワークの設立とデータ共有に対する活動を促進することができるかについて討論する。

 

2月5日(木)

議長:矢原徹一(九州大学)

09:00-9:10 開会・紹介(矢原徹一、九州大学)

 

9:10-10:20 生態系と生態系サービス

生態系のデータ管理に関するモデルプロジェクト

(H. Kunii, Shimane University, JaLTER )

ECOSMAG:アジアにおける生態系サービスに関する統合研究

(Dr Suneetha Subramanian, LAND Office, UNUU)

衛星を利用した植生監視(鈴木力英,海洋研究開発機構)

 

10:20-11:30 生物多様性監視の進展

GEO-BON構築の進展(Sebastien Miazza, GEO )

生物多様性監視におけるGBIFの役割(Dr. Matsuura, GBIF )

東・南東アジア生物多様性インベントリー計画

(Mr. Sakaguchi, Biodiversity Center of Japan )

 

11:30-12:00 討論

 


 

4.災害管理のための地球観測とデータ共有

 

  地球観測データの共有が重要であることに鑑み、この分科会ではリモートセンシング、地質・地殻災害、風水害、森林火災のような様々な研究分野からの災害管理のための新しい技術や考え方を提供する。

 

  災害監視は、衛星だいち(ALOS)によって現実のものとなった。これは、わが国が主導し災害軽減のために利用できる社会資本の一つとも言えるものであって、だいちに搭載された光学センサとレーダーによって宇宙から地表の自然災害を適宜検出することが可能となっており、災害管理に貢献している。同様に、他の衛星・センサーも、災害の予兆の検出、早期警報、予知のために必要な物理定数、災害発生のホットスポットのマッピングといった災害管理に貢献する潜在能力を有している。センティネル・アジア・プロジェクトの推進により、だいちは、アジア各国に災害監視情報を提供している。災害に関係するそのほかの活動についてもこの分科会において紹介される。

 

-この分科会の目的は、-

  • 世界で行われている災害管理に関連する活動についての情報を共有すること
  • 地球観測システムを使った新しい技術や考え方を紹介すること
  • 地すべり、地震、台風(サイクロン)、洪水、森林火災といった自然災害とその被害に関する様々なデータの統合的な利用方法の可能性を探ることである。

 

2月5日(木)

議長: 沢田治雄(東京大学)、島田政信(宇宙航空研究開発機構)、寶 馨(京都大学)

9:00-9:30 最近の国際的活動の紹介

IFNet-GFAS: 杉浦友宣・深見和彦(ICHARM, PWRI)

宇宙航空研究開発機構の災害における国際協力の貢献: 松原彰士(宇宙航空研究開発機構)

 

9:30-10:10 災害軽減のための地球観測データの応用

森林火災: 沢田治雄(東京大学生産技術研究所)

ネパールでの事例: Mandira Shrestha (ICIMOD)

その他

 

(10-min Break)

 

10:20-11:20 合成海溝レーダーを用いた地質・地殻災害のインターフェロメトリ解析

地震: 島田 政信(宇宙航空研究開発機構)、橋本学(京都大学防災研究所)

地すべり: Casagli (フローレンス大学; ICL), 福岡浩(京都大学防災研究所)

 

11:20-11:40 災害管理のためのデータ共有

Sentinel Asia の概念と最新の活動状況:加来一哉 (宇宙航空研究開発機構)

早期警報への応用:

 

11:40-12:00 総括討議:全員

 


5.気候、水循環、災害の具体的な分野連携に向けて

 

  気候観測や予測システムは水循環分野に広く有益なデータや情報を提供する。水循環分野では、気候分野からの情報に水分野独自のデータを組み合わせて、統合化されたデータや他のデータセットを作成し、例えば災害分野など他の社会的利益分野に有用な情報として提供する。このようにして、様々な分野のデータや情報を分野を超えて利用することによって、災害分野の問題の包括的な理解が可能となる。気候分野の担当者は気候分野から提供される情報の幅広い利用者に対応するために、広い利用者の要求に応えることができるよう自ら発信する情報を改良する。

 

  GEOSSは様々な分野間のこのような相互連携性を促進する機会を与える。GEOSSの参加機関のデータ利用やデータへの要求を共有するだけでなく、実施経験の共有を加速するために、本分科会では、気候、水循環、災害の異なる社会利益分野間での協力、調整をいかに進めるかを議論し、考えを実行に移すための計画案についても議論する。

 

2月5日(木)

共同議長:小池俊雄(東京大学)、中北栄一(京都大学)

13:00-13:10 「気候、水循環、災害」合同分科会開式

13:00-13:10 分科会の目的 :中北英一(京都大学防災研究所)

 

13:10-14:30 現在進行中および計画中の地域的な取り組み

1.気候変動予測:鬼頭昭雄(気象研究所)

2.水災害分野への気候モデル出力の利用:中北英一(京都大学防災研究所)

3.モンスーンアジア水文気候研究計画(MAHASRI)と海大陸レーダーネットワーク構築計画 (HARIMAU)のGEOSS世界気候研究計画(WCRP)との協力:山中, 松本 (独立行政法人海洋研究開発機構)

4.アルゴフロート配列による最近の変動塩分極層?水循環の強化のフットプリント- :細田(独立行政法人海洋研究開発機構)

5.北極地域による水文学的に異常な状態・災害:Dr. T. Ohata (独立行政法人海洋研究開発機構)

6. 世界食糧危機解決のためのリモート・センシングを使った水生産性地図:Dr. P. Thenkabail (USGS)

7. Sentinel Asia とSAFE:森山隆氏(宇宙航空研究開発機構)

8. 地域間連携:深見和彦 (水災害リスクマネジメント国際センター)

9. 世界の水:Dr. T. Wiener (IEEE)

10. WCRP/GEWEX/CEOP:Dr. S. Williams (NCAR/EOL)

 

14:50-15:10 休憩

 

15:10-17:30 連携協力を目指して

15:10-15:40 データと情報の共有:柴崎亮介(東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構)

14:40-17:30 実施へ向けた議論

対象事象と地域

台風とサイクロン/都市水害/渇水/コールドサージ/氷河湖決壊地域連携の枠組み

地域間協力の枠組み

世界規模の協力調整の枠組み

能力開発

計画立案の戦略

 

17:30-18:00 「気候、水循環、災害」合同分科会閉式

17:30-17:50 分科会の総括:小池俊雄(東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構)

17:50-18:00 閉会挨拶:GEO 事務局

 


6.生態系―気候変動―災害の分野間協力による観測・予測・データ共有のニーズと可能性

 

  アジア太平洋地域における分野横断のデータ共有というテーマのもと、我々は気候変動、生態系管理、防災の分野において、観測・予測・データ共有を強化するための方法を検討する。

 

  陸域の炭素収支推定の不確実性を低減するために、微気象学的手法と生態学的方法の統合や観測手法の標準化の為に早急な対策が生物的機能の正確な評価のために必要である。統合された陸域生態系モニタリングシステムを通じて取得された観測データは、温暖化に伴う長期間の生態系反応やフィードバックを組み込んだモデルによる温暖化影響の予測精度向上に大きく貢献する。さらに、全球の温暖化影響下における生態系サービスの脆弱性評価の新たな手法の構築が可能となる。

 

  特に、新しいGEOのタスク「森林炭素マッピング」は温暖化に対する適切な緩和策や適応策を政策決定者が決定する上で不可欠な情報を提供するポテンシャルがある。森林炭素マッピングは合成開口レーダー(SAR)やライダー(LIDAR)による衛星観測情報の利用により実現可能となる。このような衛星観測と地上観測の統合により森林伐採、土地の劣化、土地利用変化による炭素放出の推定精度が向上する。

 

  さらに本セッションでは、アジア太平洋地域における業務利用に必要である組織的な即時観測データ提供のための多目的データベースの開発をどう推進していくかについて議論する。生態系、気候変動、災害に関する情報システムにおける既存のGEOによる取組をふまえて、我々は統合ツールの実際の開発計画を提示する。

 

-本セッションの目的は次の通りである。-

 

  • 陸域炭素収支推定の不確実性を低減するために生態系研究と森林炭素観測の連携について模索する。
  • 衛星観測の連携とその継続について議論する。
  • 森林における炭素貯留量の定期的な推定に関する業務的利用に必要である頑強なツールと手法の開発と検証について議論する。

 

2月5日(木)

共同議長: 山形与志樹(国立環境研究所), Alex Held (CSIRO)

13:30-13:40挨拶:GEO事務局、共同議長

 

1. 生態系研究と森林炭素観測の連携

13:40-14:40

1.1 JaLTER・モニタリング1000の連携(柴田英昭・北海道大学)

1.2 AsiaFluxとの連携 (三枝信子・国立環境研究所)

 

2. リモートセンシング観測との連携

14:40-15:40

2.1 ALOSによる森林リモートセンシング (島田政信, 宇宙航空研究開発機構)

2.2 タイにおける森林リモートセンシング(Chaowalit Silapathong, GISTDAタイ)

2.3 Sentinel-Asiaとの連携 (Alex Held、CSIRO オーストラリア)

 

15:40-16:00 Break

 

3. 森林炭素マッピングとの連携

16:00-17:00

 

3.1 モデルによる森林炭素マッピング(伊藤昭彦、国立環境研究所)

3.2 東南アジアにおける森林炭素監視の研究(Denis Dye, USGS アメリカ)

3.3 炭素量モデルと森林変化のリモートセンシングの関係(Gary Richards/ Rob Waterworth, Dept. Climate Change オーストラリア)

3.4生態系の脆弱性評価への応用(Daniel Murdyaso、CIFOR インドネシア)

 

4. 総合討論および分科会のまとめ

17:00-17:40

 


 

●2月6日(金)全体会合

09:00-10:45 各分科会からの報告
10:45-11:00 休憩
11:00-12:00 パネル討論
12:00-12:15 閉会挨拶 Prof. Jose Achache, Secretariat Director of GEO

12:30-17:45 テクニカルツアー:京大信楽MU観測所 及び宇治平等院等

 

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