インターフェロメトリ

高さを表す縞模様

下の不思議な縞模様は、富士山やその周辺の高さを表しています。縞は地図の等高線のようなものと考えてください。同じ色同士の間が大体100mです。山頂付近は傾斜が急で、縞の間隔がたてこんでいます。すそ野にいくにしたがい、なだらかに広がるのがわかりますね。

この画像は、地球資源衛星「ふよう1号」の合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar=SAR)の、2つのデータ(1993年7月7日と8月20日)を用いて作りました。

ふよう1号のSARは波長が23.5cmの電磁波(マイクロ波)を地表にあて、地表から反射してくる電波を受信します。上の図のように、衛星は同じ軌道を通っても微妙にずれてきます。そのために、観測した地点と衛星の距離も違ってきます。

画像の右端に赤~水色でのっぺりと広がるのは小田原の平野です。富士山と小田原の間に箱根山があるのがわかりますか?小田原市に接する相模湾は細かな点の集まりで不ぞろいに見えます。水面は波立っているため、衛星にかえる電波がその都度違うからです。このような画像を作る技術をインターフェロメトリィと呼びます。

  • 同じ衛星が同じ軌道を通っても観測日がちがうと位置が微妙にずれる。そのため観測地点との距離はAとBで異なってくる。

阪神・淡路大震災で起きた地表の変動

別の例を見てみましょう。1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災では、淡路島の北西部にある野島断層に沿って、地表に大きなズレが起こりました。このような地表のズレを、インターフェロメトリィを使って表すことができます。

この画像は、地震の前(1992年9月9日)と後(1995年2月6日)のSARのデータによるものです。このデータの組み合わせから、高さの情報を取り除き、ズレの情報だけ取り出しました。A地点でのズレの量を仮に0cmとすると、B地点の平林地区ではズレの量はおよそ140cmになります。

この結果を折れ線グラフで表したのが表1です。棒グラフは実際に現地に行って測定したズレの値で、衛星のデータから出した結果と大体合っているのがわかります。このように、水平方向では10cmほどのわずかなズレも衛星データから得ることができ、地震による断層のズレを研究するのに役立つデータとなります。